恋は手のひらの上で
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会議室のドアを開ける。

久しぶりの、東央ヘルスケアの会議室。

保湿ジェルのシリーズ化に向けた打ち合わせのために、
私はまたここに来ていた。


資料を机に置くと、榛人さんが向かいの席に座った。
最初に会った日と、ほとんど同じ光景。


でも。
違うこともある。

心を許している、恋人。

そして、誰より信頼できる仕事のパートナーだ。


「また、よろしくお願いします」

榛人さんが手を差し出す。


初めて会った日と同じ、きれいな指先。
でも、今は知っている。

この手が、どんなふうに資料をめくり、
どんなふうにコーヒーを持ち、
どんなふうに、さりげなく私を助けてくれたのか。


そして─────
どんなふうに、私の手を取るのかも。


私は自然に笑みがこぼれて、そしてその手を握った。

「はい。また、よろしくお願いします」

その言葉のあと、彼がやさしく笑った。



会議室の窓の外で、午後の光が静かに揺れている。


握った手の温度が、しばらく残っていた。



最初に会った日、
名刺より先に目に入ったのも、
この手だった。



𓂃⟡.·おしまい𓂃⟡.·
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