俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 ワンレンの長い髪が野暮ったい。背中の半分まであるだろうか。綺麗と褒め称えるよりは、無駄に長いという印象を拭えない。要するに、貞子。服装も、うえはこだわりのなさそうなTシャツにパーカーを羽織っているだけだし、ロングスカートに至ってはアメリカの田舎のカーテンの生地みたいだ。

 化粧っ気もゼロ。たぶん、彼女を褒めたい人間は『肌が白いねー』と言うのだろう。

 それが、唯一の長所。

 誠治は、女性にはおごる主義だが、カウンターで自分のぶんだけを注文し、先に支払いを済ませたところ、彼女は別段不満を感じた顔も見せず――どうやら、それどころではないらしく。恨めしそうな表情から察するに、小銭を出すのを諦めたようだ。さきほどの出来事からすれば納得。こうして彼女は一円五円十円玉辺りを貯めていくのだろう、財布のなかにずくずくと。

 素朴。だが愚鈍。

 田舎出身の、一年生。

 どうせ寄るなら食事も済ませてしまおうと、大学の近くのマクドナルドに来たのだが、おそらく、彼女がここに入るのは初めてだろう。

 まだ、四月の中旬。友達の発見と関係の構築は手探りの段階だろう。ひとりで行動していたことからすると。
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