俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 と、誠治は思った。


 * * *


「別に最初からみんな、あんなに速く歩けたわけじゃないよ。

 都会にいると、いろんなものに簡単に素早くアクセスできるから、その便利さに慣れすぎて、無駄を省くようになるんだ。……都会っていうか、そもそもの現代人の特徴かもしれないけどね。

 生まれたときから、ティッシュ配りのひとを見かけてれば、五歳になる頃には自然と無視できるようになる。……三歳児くらいだったら、食いつくけどね。

 慣れだよ、慣れ」

「そう、……ですか」本日の議題は、『何故、みんなあんなに速く歩くのか』。

 東京生まれで東京育ちの誠治は、逆に地方に行くと、ひとびとの寛容さに驚かされることがある。ゆっくり、おだやか。彼と仲のいい沖縄出身の人間のパーソナリティがまさにそれだ。

「あとは、まあ、単純に、時間に追われてるんだろうね。決まった時間になにかをするってひとは多いから……。

 きみは、なにかバイトはしている?」

「これから、探すところで、……履歴書も、買わんと」
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