俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 こころを開いたからには、開いて欲しいと思うのが人情だ。


 だから、彼は彼女に語りかける。


 ――おれを見つめ返せ。松岡(まつおか)綾乃。


 誠治は、ほかにも知っている。

 彼女の笑顔が実に魅力的であることも。

 ダサ目の衣服に隠された均整のとれたプロポーション。

 髪型と化粧と服さえ変えれば『化ける』可能性も掴めていた。

 だが、誠治は、待った。

 変わりたいのなら、彼女が自分から変わるときを待てばいい。

 おれは、ただそれを見守るだけ。


 だから、誠治は決めた。

 大学生活の残りの三年間は、彼女と同じバイト先でバイトをしようと。


 *
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