俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 シンデレラみたいだ……。

 彼女が二人分のジュースをトレイに乗せて戻ってきてからも、誠治は、彼女に変わったきっかけを聞き出せずにいた。

 認めるのが怖かったのだ。


 ――男の影を。


 * * *


 誠治の予想は悪いかたちで的中し。

 翌週、学食で友人とランチを食べていると、彼女に声をかけられた。「あ。一条先輩!」

「こんにちは」にっこりと笑う彼女に魅せられながら誠治は手を挙げる。

 彼女に敵意を抱く人間など、この世のどこにもいないだろう。

 今日は、暑いせいか、半袖よりもちょっと短い袖のTシャツ。夏を思わせるクリアなブルー。……やっぱり、顔の次には胸の膨らみに目が行ってしまう。

 そんな誠治に気づかず、無邪気に彼女は尋ねる。「今日のAランチってなんですか」

「見ての通り、ハンバーグ定食」

「あっ、やだ、失敗したあ」片手で頭を抱える彼女がコミカルだった。「ひとが多くて全然見えなくって、分かんないからBにしたんですよ」

 誠治は、後ろにいる男に気づかなければ、『ぼくのぶんをあげるよ』と言っていた。

 顔立ちの整った男だ。しかし、視線が鋭い。
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