俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 あの喜ばしい顔が、憎たらしく思えるほどだ。

 おれのことは『一条先輩』だ。おまえになら、なんと呼ばれたって構わない。せいちゃんでもいっちゃんでも好きなように呼べ。おれはおまえのしたいようにさせてやる。

 おまえの望みすべてを叶える気でいるというのに、おまえときたら……。

「……なにいまの。後輩?」

 隣の友人の声に、誠治は我に返る。「まあ、……ちょっとしたきっかけで知り合いになった子」

「ふーん。例の子か」友人の口元がにやついているのが誠治の気に障った。「隣にいたやつは、彼氏?」

「ちっげーよ!」大きな声が出た。鼻息も荒くなった。

 ――くそ。

 花開く前のあの子を知るのは、おれだ。

 おれだけでいい……。

「まあ、なかなかめんどくさいことになってんのな、おまえ」誠治の『事情』を知る友人は楽しげに笑う。「婚前の自由恋愛って認められてるわけ?」

「一応、……自由な、はずだぜ……」誠治は、茶を口に含む。なにか飲まなければ自分がどうにかなってしまいそうだった。
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