俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
* * *
「お。あがった?」
「うん」
「いま持ってくから、さき、座ってな」
キッチンで洗い物をしてくれているけいちゃん。彼に背を向け、ちょこんと、座布団のうえに座る。点いていないテレビに向かうかたちとなる。
その画面に映る白い影が揺れたと思えば、
突如、部屋の照明が落ちた。
真っ暗だ。
ぱち、と玄関の照明が点く。この部屋で動ける人間はただ一人。
「ハーッピバースデイ、トゥー、ユー」
誰もがよく知るあの曲を口ずさんでいる。
わたしは床に手を添え、驚きとともに振り返った。
暗くてよく分からないのだが。小さなお皿のうえに、灯されたろうそくが三つ。おそらく、ケーキが乗っている。
そのひかりが、どんどん近づいてくる。
大きくなる声量とともに。
彼は、さきほどまで自分が座っていたところに座ると、ケーキをテーブルに置く。そのタイミングで歌い終えた。