俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
「……一条先輩がそう思っていても。わたしは、そうは思いません」彼女は上目遣いでぺろっと舌を出す。「だって、先輩、……」

 一拍置いて、彼女は蠱惑的に笑う。

「すごく優しいでしょう、わたしに」

 この、小悪魔め。

 抱きしめて唇を封じてやりたい。舌を絡ませ、逃げまわる舌を追い回し、甘く噛んでやりたい。

 片手でその華奢な背中を抱き寄せ。他方、もう片方の手で豊満な胸を揉みしだき。

 その欲望は、抑えこむのが大変だった。彼女には絶対分かるまい。

「えっへへ」素直で従順だったはずの彼女は、変わった。もう、誠治は、彼女に対して愚鈍で素朴という印象を抱かない。「一条先輩と出会ってから、わたしの人生、変わったんです。

 みんなしかめっ面して急ぎ足で歩いてる東京にも、こんな素敵なひとがいるんだなと……」

「きみは、ぼくのすべてを知っているわけではないよ」顔色変えず、淡々と誠治は告げた。「ぼくが、きみの前で見せる顔なんて、複数隠し持つ顔のうちのほんの一つでしかない。大河の一滴だ」

 きみには絶対言えないことがある。見せない顔がある。

 と、誠治は内心でつけ足したのだが、
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