俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~

「それでも――

 わたしの前で優しい顔を見せてくれるってことが、肝要なんです」

 こちらに身を乗り出し、彼に笑いかける彼女の顔は、

 額縁に飾りたいほどに、美しかった。


「好きだよ」


 言葉が自然、こぼれ落ちていた。

 驚きに、彼女のうす茶色い瞳が見開かれる。「え。え、えっと……」

「誤解しないでくれよ」すかさず、誠治はフォローを入れる。「きみの、その白いニットがだ。……新しく買ったの?」

「え。あ。あ、これですか……」彼女の声のトーンが落ちる。視線も。「別に、……安物ですよ。セールだったから買ったんです」

「そのいろは、きみにとてもよく似合う。白い肌に映えてとても、綺麗だよ」

「先輩ってナチュラルにお世辞言いますよね……」そう言いつつ、なんだか彼女は嬉しそうだ。「生まれつきそうなんですか。しれっとした顔して女の子のこと褒めたりできるんですか」

 きみにだけだ。

 と、誠治は言わなかった。「生まれつきといえば、……ぼくは、両親とは血が繋がっていない。

 養子なんだよ」

 さあ、どう出る、松岡綾乃。

 同情か。憐憫か。感情の一端を見せろ。
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