俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
■6
「こら! もう! 走らないの! 真人ったら!」
思うに、妻は、息子に厳しすぎる。
まあ、一般に母親とはこのようなものだ。自分の母親がよその母親とはすこし違っただけで。
誠治は、自分と入れ違いで喜々として階段をかけあがる愛息を見上げる。この無駄に広い洋館は、二歳児には格好の遊び場で、走り回るなという方が無茶だろう。
だが誠治は、内面に浮かびあがるその意見を封じ込め、妻に声をかけた。「そろそろぼく、出かけるよ……」
「あら。お出かけですか。今日はどちらへ?」
息子を注意せぬ言動にも思うところがあるのだろう。妻の険のある声を聞き流し、誠治は柔和な笑みで答える。「言っただろ。三沢さんとこのオフィス移転パーティー。……行かないわけにはいかないだろう、きみの親戚なんだから」
「ああ、そうですか……」段を降り、ジャケットを羽織る誠治への目線に納得と不満が入り交ざる。そして妻の目は階段を駆け下りる息子の姿を追い、「もう! 真人! 何度言ったら分かるの!」
数名の使用人は困り顔で突っ立っているだけだ。役立たずめ。
思うに、妻は、息子に厳しすぎる。
まあ、一般に母親とはこのようなものだ。自分の母親がよその母親とはすこし違っただけで。
誠治は、自分と入れ違いで喜々として階段をかけあがる愛息を見上げる。この無駄に広い洋館は、二歳児には格好の遊び場で、走り回るなという方が無茶だろう。
だが誠治は、内面に浮かびあがるその意見を封じ込め、妻に声をかけた。「そろそろぼく、出かけるよ……」
「あら。お出かけですか。今日はどちらへ?」
息子を注意せぬ言動にも思うところがあるのだろう。妻の険のある声を聞き流し、誠治は柔和な笑みで答える。「言っただろ。三沢さんとこのオフィス移転パーティー。……行かないわけにはいかないだろう、きみの親戚なんだから」
「ああ、そうですか……」段を降り、ジャケットを羽織る誠治への目線に納得と不満が入り交ざる。そして妻の目は階段を駆け下りる息子の姿を追い、「もう! 真人! 何度言ったら分かるの!」
数名の使用人は困り顔で突っ立っているだけだ。役立たずめ。