俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 と、誠治はここで足を踏み出した。尖った女の靴の先が彼の目に映る。「文句を言うだけのやつは、結局、場所を変えてもずっと同じことをまた別の誰かに言い続けるんだ。好きなんだよ、そういうのが。彼らが自覚を持って態度を改めない限りは一生あのままなんだろうね。永久に発行され続ける週刊誌のように、或いは同じ台詞を延々と垂れ流す選挙カーのようにね。……他人の意見を一切気にするなっていうのは無理ではあっても、ある程度は聞き流すのがいいよ。……まあ、彼らは、自分とは違う人間を認めることが自信の喪失に繋がるから、いたたまれずにやっている、っていう側面も、あるとは思うよ。自分が本当に自信を持っているんだったら、他者にむやみやたらに強制なんかしない。『不安』なんだよ、彼らは。カルト宗教にハマる人間の心理なんかまさにそれだ。ぼくからすれば、体重を落とすことに固執して結局できない人間も、同じに見えるけどね」

 途中から彼女の顔を見ず、誠治が自分の考えを述べたてたところ。

「相変わらずあっついねえ。誠治くんは……」
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