俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 女は、自分の耳に触れ、誠治を見て笑った。片方だけにぶら下がるピアスの装飾が綺麗だと誠治は思った。

「まーでも、誠治くんに話すと、なんか癒やされるわ。……きみのような考え方をする既婚男性って、割りとレアだから……」

「間違いを散々犯した末だよ」誠治も、彼女に習い、煙草に火を点ける。「……ところで、さりげに爆弾発言があったんだけど。さっき」

「なぁに?」

 気づいていないらしい、彼女は。

 誠治は煙草をふかし、疑問も露わな女の目を見て言ってみる。


「小池綾乃は、いつ出産したの?」


 あ、と女の口から声が漏れた。「……別に、隠すつもりはなかったんだけど、にしても口軽いなわたしって……」

「いいんだよ、そんなことは」

「去年。写真、送ってもらったよ。携帯にあるけど、見る?」

「いや、いい」誠治は首を振り、息を吐いた。白い息が上空に飲まれていく。

 そうか。幸せなのか、きみは。

 なら、……よかった。

 おれは、きみの幸せを願えることができるくらいには、幸せになったんだ。

 桜子は、おれを愛している。

 おれも、桜子を愛している。
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