俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 誠治は、その後、女との話を三十分ほどで切り上げ、早々にパーティーから抜けだした。帰りに、ケーキを三個買った。真人が寝ていたら妻に二個あげるつもりだった。妻は、病的なほどにケーキが好きだから。

 明日は、おれがサンドイッチを作って、あの公園にでも出かけよう。三人きりで、風を感じながらランチをするんだ。青々とした芝生の上にシートを敷いて。たっぷりと真人を遊ばせてやろう。

 来週末は、妻にひとりで外出してもらおう。エステに買い物など、したいことがたくさんあるはずだ……。

 人間を檻で閉じ込めるのはいつだって凝り固まった人間の精神。開放できるのも同じく人間の成せる技。ならば、おれは――

 自由を与えられる人間でありたい。

 妻は、一条家に嫁ぐと、両親と誠治とのあいだを取り持つよう努力してくれた。広い館ゆえ実質二世帯以上の住宅、食事も生活も別々なのだが彼女は頻繁に愛息をじいじばあばに見せに行く。血のつながりはなくとも、孫とは可愛いものであるらしく、二人が目を細めて抱っこをする姿を見るのも珍しくはない。父が、あんな表情をするなど、誠治には想像もできなかったが。
< 161 / 259 >

この作品をシェア

pagetop