俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
ガラスの向こうからやってくる到着客のなかに、淡いラベンダー色の抱っこ紐をつけた女性の姿を見つけた。傍から見たらランドセルを前方に抱えているような奇妙な格好。丈一郎は、子どもが産まれてから、街でやたら抱っこ紐が目につくようになったが――比較的黒や茶色など無難な色を多く見る。
綾乃は、「女の子だから目立つような、可愛い色にしたの」と語っていた。写真でいろを見た。間違いない。
丈一郎は、走りだしていた。最愛の母子から目を離さずに。
到着客が次々とやってくる。丈一郎は、彼らのあいだを縫って走り、やがては二人のもとにたどり着いた。
「ひさしぶりだね、けいちゃん」
「おかえり、綾乃」ちゅ、と音を立ててキスをした。案の定、「んもう」と綾乃は唇を尖らす。丈一郎は笑って綾乃の頭を撫で、「優香は。寝てんの?」
「うん。寝てる」
丈一郎は、身を屈め、母の胸にぴったりと右の頬を添えて眠る我が子を見つめた。目をつぶっているゆえ、どちら似か、よく分からない。写真だと綾乃に似ていると思ったのだが。頭が丈一郎の手のひらにすっぽりと収まりそうなくらいに小さくて、皮膚がとても薄そうな印象を得た。
綾乃は、「女の子だから目立つような、可愛い色にしたの」と語っていた。写真でいろを見た。間違いない。
丈一郎は、走りだしていた。最愛の母子から目を離さずに。
到着客が次々とやってくる。丈一郎は、彼らのあいだを縫って走り、やがては二人のもとにたどり着いた。
「ひさしぶりだね、けいちゃん」
「おかえり、綾乃」ちゅ、と音を立ててキスをした。案の定、「んもう」と綾乃は唇を尖らす。丈一郎は笑って綾乃の頭を撫で、「優香は。寝てんの?」
「うん。寝てる」
丈一郎は、身を屈め、母の胸にぴったりと右の頬を添えて眠る我が子を見つめた。目をつぶっているゆえ、どちら似か、よく分からない。写真だと綾乃に似ていると思ったのだが。頭が丈一郎の手のひらにすっぽりと収まりそうなくらいに小さくて、皮膚がとても薄そうな印象を得た。