俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
「綾乃の布団って、使わないから、客間に置きっぱなんだけど。おれの布団じゃ、駄目?」

「なに言ってるの!」

 いきなり、怒られて丈一郎は呆然とする。

 廊下で、丈一郎を追い越すと、綾乃は、

「……赤ちゃんの肌はデリケートなんだよ。けいちゃん。最後に布団のシーツ洗ったのいつ? 新しいものじゃないと、優香の肌に、よくないよ……」

 そう言われると丈一郎は困ってしまう。「綾乃の布団のシーツも、……洗ってないけど」

「やだ、信じらんない!」ずんずんと歩き出す綾乃。ふと足を止め、

「えっと……。なんで、段ボールがそのまんまなわけ?」

 寝室に、六箱ほど、綾乃の実家から届いた段ボールを積み上げたままだ。それが、気に触ったらしい。

 丈一郎は、ため息を吐く。――あれ。寝室に運ぶだけでも大変だったんだぜ。重たかったし。とはいえ、丈一郎はすこし我慢をし、最小限を口にした。「おれ、忙しかったからさ……。勝手に開いちゃいけないと思ったし、それに、開いても、どこになにを置くか、おれには分かんないからさ……」
< 167 / 259 >

この作品をシェア

pagetop