俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~

◇3

 まぶたがぱんぱんに腫れ上がっているのが、鏡を見ずとも分かった。


 明日外に出られないな。どうしよう。サングラスなんか持ってないし。

 どのみち似合わないし。

 にしてもこのワイシャツ。わたしの涙と鼻水まみれで、けいちゃんには気の毒なことになってしまった。

 それにしても。

 わたしの頭の後ろを撫でるけいちゃんの手つきが、勘違いしそうなくらいに優しい。

 頭のてっぺんから毛の流れにそって背中へと撫でられ、うっとりと目を閉じてしまう。

 これはあれだ、うん。目の前で泣いてる子どもをあやすのと同じ理屈。

 というわけで、そろそろわたしは彼から離れなければならないのだが。

「……うん?」からだを離そうとしたはずが。けいちゃんの両手がわたしの背中に回されていて、それが許されない。


「離すものか」


 頭上から声が降ってくる。頭のてっぺんを刺激する声音と吹きかかる息に、からだの奥がしびれたようになってしまう。

「あの、……けいちゃん」わたしは身じろぎして彼の表情を確かめようとすると、彼はわたしの目を見て、


「おれが好きなのは、おまえだ、綾乃」

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