俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 まっすぐに、愛を告白する男の目。

 雷に打たれたように、動けなくなる。

 愛は、本能を呪縛する。

「綾乃……」

 切なげに目を細め。手の甲をそっとわたしの頬に滑らせるこの男は誰だろう。

 彼の目にわたしはどんなふうに映っているだろう。

 この瞳に浮かぶのは、驚愕? それとも当惑?

 わたしの頬を挟み込み。上向かせ。己の意志を瞳だけで伝えるこの男は誰だろう。

 鼻と、鼻がくっついてしまう。熱い、彼の呼吸がわたしの唇に降りかかり、胸が、高鳴りを覚える。これ以上不可能なくらいの接近値。初めて知る彼の肌の感触に――

 引き出されるなにかがあった。

 誰に対してもわたしはこんなふうになり得る?

 ううん違う。

 彼だから――


 けいちゃんだから。



「キスしてよ、けいちゃん」


 刹那、見開いた漆黒の瞳の残像が残り、直後、わたしの口内は彼の侵入を許していた。


 * * *


 超絶技巧を彷彿させる動きがわたしのなかで展開される。

 彼の熱いざらざらとした感触の舌がわたしの歯列をなぞり、奥深くからわたしを引き出し、そして、さらっていく。
< 18 / 259 >

この作品をシェア

pagetop