俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 その重みが深く胸に迫り、本能を、下手な布地よりも強く拘束する。

 すると、けいちゃんはわたしの口内を貪ったまま器用にわたしの頭に手を回し、ゆっくりと、押し倒していく。途端、からだにかかる男の重み。まるで彼の長年の想いがのしかかってくるようで、胸が詰まる。

 彼の片手がわたしの髪をかき回し、反対の手が耳を塞ぐ。

 彼のことしか、見えなくなる。

 彼のことしか、感じられなくなる。

「あ――ふ、」唇を離されると情けない声が出てしまう。感じてしまっている証拠だ。けいちゃんはそんなことは気にならないらしく、ぎゅうっとわたしを抱き締めている。

 重なる固い男の胸から激しい鼓動が伝わる。

 猛々しい男も当然わたしには伝わっていて、その――

「……やばいな」ふ、と彼が息を吐く。わたしからは彼の顔は見えないが、すこし、余裕を失った様子が感じられる。「このままだとおれ――どうにかなっちまいそうだ」

「けいちゃん――」

 彼は、わたしを抱きしめていた手を離すと、わたしの頬を挟み込み、そしてわたしの目を見据えた。

 目は、こころの鏡。
< 20 / 259 >

この作品をシェア

pagetop