俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
されど。里織も嫁ぎ先の家業を手伝う、小学生二人の育児の真っ最中の母親であり――とても、親族の子どもの面倒など見きれない。であるからこそ、綾乃の母は、わざわざ外部の人間を雇ったのだ――その事情は理解できるからこそ。
自分が、この負のループから抜けるには、実家を抜け出るしかない――。自分のからだの調子もやや上向きになった二ヶ月後に、彼女は踏み切ったのだった。されど。
いまの、綾乃の胸に去来する悲しみと苦しみ――。都会で子育てをする母親は皆、このように耐えているのか。赤ちゃんが泣いたとき、いったいどうすればいい――?
綾乃の、まなじりから、涙がこぼれた。――お義姉さん。助けて。こんなとき、どうすればいいの――。わたしは。
寂しくて辛くてここから逃げ出したくてたまらない……。
虚ろな目で、赤子の泣き声を耳に入れつつ、ベランダの手摺のほうへと近づく。下を覗き込みそうになり、ぞっとした。――いけない。
自殺する人間の心理が、トレースできた。ここから飛び降りれば――
楽になれる。
自由になれる。
自分が、この負のループから抜けるには、実家を抜け出るしかない――。自分のからだの調子もやや上向きになった二ヶ月後に、彼女は踏み切ったのだった。されど。
いまの、綾乃の胸に去来する悲しみと苦しみ――。都会で子育てをする母親は皆、このように耐えているのか。赤ちゃんが泣いたとき、いったいどうすればいい――?
綾乃の、まなじりから、涙がこぼれた。――お義姉さん。助けて。こんなとき、どうすればいいの――。わたしは。
寂しくて辛くてここから逃げ出したくてたまらない……。
虚ろな目で、赤子の泣き声を耳に入れつつ、ベランダの手摺のほうへと近づく。下を覗き込みそうになり、ぞっとした。――いけない。
自殺する人間の心理が、トレースできた。ここから飛び降りれば――
楽になれる。
自由になれる。