俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
いままでこころの全部を覆い尽くしていた苦しみや憤りから開放され、天国へと行ける。その際。
どんな痛みを伴うかまでは綾乃の知るところではないが。
(……出産より、痛いはず、だよね……)
後ずさり、ふぅと息を吐く。――昔。兄貴の持ってた自殺マニュアルなんかで読んだ。高層階から飛び降りないと、意識が残ったまま、下に打ち付けられる痛みに悶絶する羽目となる。飛び降りるなら絶対に高層ビル。なにをどこまで読んだかは忘れたが、綾乃は、その教訓だけを無駄に記憶している。
「優ちゃん……。
こんなママで、ごめんね……」
綾乃の頬を涙が伝う。泣き疲れて眠った優香を見て真っ先に『よかった!』という感情が走ったのだ。彼女が娘に詫びた理由は。
優香が苦しみから解き放たれたことに対してではなく。――自分が。
あの耳を刺す泣き声を聞かずに済むこと。そのことに対してであった……。
一日中泣き声を聞いていると、最初の頃はなんとかしなきゃ! と思っていたのがいまは……耳にこびりついてはなれず、ただ、苦しい。耳障りなだけだ。赤ちゃん元気だねーと思う余裕すらない。
どんな痛みを伴うかまでは綾乃の知るところではないが。
(……出産より、痛いはず、だよね……)
後ずさり、ふぅと息を吐く。――昔。兄貴の持ってた自殺マニュアルなんかで読んだ。高層階から飛び降りないと、意識が残ったまま、下に打ち付けられる痛みに悶絶する羽目となる。飛び降りるなら絶対に高層ビル。なにをどこまで読んだかは忘れたが、綾乃は、その教訓だけを無駄に記憶している。
「優ちゃん……。
こんなママで、ごめんね……」
綾乃の頬を涙が伝う。泣き疲れて眠った優香を見て真っ先に『よかった!』という感情が走ったのだ。彼女が娘に詫びた理由は。
優香が苦しみから解き放たれたことに対してではなく。――自分が。
あの耳を刺す泣き声を聞かずに済むこと。そのことに対してであった……。
一日中泣き声を聞いていると、最初の頃はなんとかしなきゃ! と思っていたのがいまは……耳にこびりついてはなれず、ただ、苦しい。耳障りなだけだ。赤ちゃん元気だねーと思う余裕すらない。