俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
(このまま起きなきゃいいのに――)

 そんな声が自分のなかから生まれる。恐ろしい。世の中の母親はみんな、こんなものなのか。この感情といったいどう戦っている? ――極度の寝不足の頭でまともに思考しようとしても答えが出るはずなどない。ひとまず。

「寝たい……」

 お腹に重たさとあたたかみを感じながらも、綾乃は目を閉じた。再び眠りが訪れるようにと。だがその後も。

 綾乃は、自分のなかから生まれ出る負の感情に苦しめられることとなったのであった。救われるには――


 ある男の登場を待たなければならなかった。


 *
< 212 / 259 >

この作品をシェア

pagetop