俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 そして、真っ暗なテレビに向かう自分の定位置に座った。

 わたしの存在を祝ってくれたケーキがそのままだった。冷蔵庫を入れなくちゃ。

 けど、なにをするにもひどく億劫だった。とりあえず、頭の整理をすることが先決だった。

 照明を点ける気になど到底なれなかった。いまだ暗い室内にて一人膝を抱え込み、考えようとする。そういえば――

『それ以上のことは、しない』

 さきほどのけいちゃんの暗い顔を思い返す。

 前にも、けいちゃんがあんな顔をしてうちに来たことがあった。

 わたしとけいちゃんは確かに『友達』であり『男女関係』にはないのだが、一切意識せぬといえばそれはまったくの嘘になるし、まったくなにもなかったとは言いがたい。

 あれは、ちょうど二年前のことだった。二十二時。一人暮らしの女性が応対するには警戒せねばならない時間にインターホンを鳴らされ、ちょっと怯えつつも魚眼レンズを除いてみれば、見知った顔で拍子抜けした。

「もうさあ、来るなら来るって言ってよ。誰かと思って、超怖かったよ」

 いつもみたいなノリで悪い悪い、なんて言ってくれることを期待していたわたしの予想は裏切られた。
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