俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
◆2
――ひとつ聞くが。
「おまえは、喧嘩をするために結婚をしたのか」
目の前の美男子は滑らかに発音する。滑舌がいい。「惚れた女を幸せにするためではなく。日々の苦しみや悲しみを彼女ひとりに押し付けるために結婚したのか?」
「違います」と丈一郎は言い切る。「おれにとっていちばん大切なのは綾乃です。そりゃあ……、生まれてきた赤ちゃんも可愛いですけど。
綾乃は、別格です」
意思確認をしたのちにふぅとその男は目を眇める。「では聞くが。
そんなに大切な女を過酷な状況に追いやった挙句放置しているのはいったい何故だ」
――過酷。いまいち、男の言う意味が分からない。解せない、といった丈一郎の表情を見てあのなあ、とその男は補足を加える。
「――育児とは。
生涯無二の経験だ。あんなに可愛い赤ちゃんのお世話をするなんてのは言葉で言い表せないくらいに幸福な体験だ。――だが」
ここで男は言葉を切り、思いのほか暗い目をする。「……世の中に。虐待をする親がいるのはいったい何故だと思う」
「おまえは、喧嘩をするために結婚をしたのか」
目の前の美男子は滑らかに発音する。滑舌がいい。「惚れた女を幸せにするためではなく。日々の苦しみや悲しみを彼女ひとりに押し付けるために結婚したのか?」
「違います」と丈一郎は言い切る。「おれにとっていちばん大切なのは綾乃です。そりゃあ……、生まれてきた赤ちゃんも可愛いですけど。
綾乃は、別格です」
意思確認をしたのちにふぅとその男は目を眇める。「では聞くが。
そんなに大切な女を過酷な状況に追いやった挙句放置しているのはいったい何故だ」
――過酷。いまいち、男の言う意味が分からない。解せない、といった丈一郎の表情を見てあのなあ、とその男は補足を加える。
「――育児とは。
生涯無二の経験だ。あんなに可愛い赤ちゃんのお世話をするなんてのは言葉で言い表せないくらいに幸福な体験だ。――だが」
ここで男は言葉を切り、思いのほか暗い目をする。「……世の中に。虐待をする親がいるのはいったい何故だと思う」