俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
「そりゃあ。親が間違っているからでしょうよ」丈一郎は深く考えずに答える。「つか。そんな親自体が異常なんですよ。てか意味分かんないじゃないですか。自分が欲しくて子ども作っといてそんで虐待って――」

「しかしながら」男は丈一郎を遮る。漆黒の瞳を向け、「おまえんちの状況をこのまま放置しておくと、とんでもねえことになりかねねえぞ。――話聞く限り。

 かなり、深刻な状況だ……」

「えええ?」丈一郎は笑ってジョッキに口をつけ、「なに言ってんすか。言っていいことと悪いことがありますよ。つかあの――」

「脳天気なやつだな」男も一口ウーロン茶を飲むと、「虐待が対岸の火事だと思っていたらとんでもない間違いだぞ。おれはなにも。世の中の虐待をする親を肯定する気なんざさらさらない。だがしかし。

 彼らが恵まれた環境にあれば――話は違ったのではないか。

 と、思うことがあるんだ」

 もしも――

 どんなときでも彼らの話をうんうんと聞いてくれる親切なひとがすぐ近くに居たら。

 国民全員に、子どもを預けて働ける環境が整っていたら。

 衣食住の心配のない状況があれば。
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