俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 休んでる綾乃がおれの手を借りる……?

 意味分かんないっす。まじで意味分かんないっす」

「逆の立場だとどう思うよ」男は丈一郎の感情の流れに引きずられず冷静に切り返す。「……自分が。十ヶ月間妊娠の辛さに耐えました。目の前で旦那さんがビール飲んでるの見ても我慢しました。尋常じゃない陣痛及び出産の痛みに耐えました。

 妊娠中は蝶よ花よと丁重におもてなしをされたのに。
 産んだ途端、お姫様の台座から引きずり落とされ。

 産後のままならないからだで、一日中泣きっぱの赤ちゃんのお世話をし続ける、新たなお役目が待っていました。沐浴。抱っこ。頻繁過ぎるおむつの交換。……腰が痛くて痛くてたまらないのに。赤ちゃんは抱っこじゃないとますます泣く。泣きたいのは、わたし。

 夫が寂しがっているだろうからと、産後二ヶ月で里帰りを切り上げて元のマンションに戻ってきました。

 夫は育児に非協力的。独身時代と変わらぬ日常を送ってます。テレビなんか見てる姿に殺意を覚えます。こっちは……
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