俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
(それができるのは、おれしか、いないんだ……)

 因みに今回。丈一郎は自分から蒔田を飲みに誘ったわけではなく。来年から丈一郎は、第三事業部という蒔田の所属する部署の担当になるゆえ引き継ぎを受けている。頻繁に行われる第三事業部の面々での飲み会に丈一郎が顔を出したかたちだ。顔を売るため。だが。

 蒔田は別の人間と飲んでいた。近くで丈一郎の話を聞いていたらしい蒔田が突然、「行くぞ」と声をかけた。腕を引っ張られて丈一郎は驚いた。まだあまり――話したことのない相手だった。でも、蒔田の存在は有名だった。

 180cm超えの長身。涼やかな声。誰もが見惚れる美貌。

 決して愛想がいいほうではないゆえ、冷淡冷酷仮面男という評も多いのだが――

 元・システムアイ勤務の奥方が退職されてから様子が変わったのだとか。システムアイで初めて、男性で育児休暇を取得し、ゆえにその手の相談を受けることも多いと、事業部長の宗方(むなかた)が言っていた。あいつあんな強面のくせして面倒見がいいんだよねー、と。

 結果。

 丈一郎は認識と行動を変えた。振り返ってみると――
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