俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 噴き上げる情熱は留まることを知らない。危うく、電車を乗り過ごすところだった。

 改札を出ると丈一郎は駆け出した。

(――待ってろ、綾乃……!)

 なにを、自分は、考えていたのだろう。二人で望んで作った子なのに。彼女に丸投げして。追い込んで。でも。

 幸せにしてやれるのも、自分しかいないのだ――。

 マンションの自分の部屋の前に着くと、丈一郎は息を整えた。苦しい状態では、商談はまとまらない。建設的な話などできない。先ずは呼吸を心拍を落ち着かせるのが先決。

 覚悟を固め。

 丈一郎はドアを開いた。明るい世界に繋がるに違いないそのドアを。


 ――ただいまー。


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