俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~

◇3

「パパー! いっしょにつくろー!」

「つくろー!」

 はーい、と生返事をする夫は画面のなかのひとだ。Jリーグも終盤。彼のチェック度合いは仕事のためというより単なる趣味なのだと思う。因みに肩入れしているチームはないらしい。なお、このスカパーがJリーグ中継から泣く泣く撤退し(夫も泣いた)、新たに耳慣れぬDAZNというオンデマンドが全放映権を取得しAmazonのチューナーを在庫切れにさせてからはや四年。新たにDAZN対応のTVを買おうとする夫を綾乃は押しとどめ、二万円弱のチューナーにするよう説得した。テレビは安いものもあるが、丈一郎が買おうとしていたのは二十万円もするもの。確かに画質はいいのだが……、子どもがいるとなにかとお金がかかる。その切り口で綾乃は夫を説得した。いや、強引に納得させた。身重の妻に言われては言うことを聞くほかなかったのであろう。いまも、綾乃が一人暮らしを開始する際に購入したテレビが現役で活躍してくれている。基本、彼女は、『使えなくなったら』購入するスタンスだ。丈一郎は『思い立ったら』派である。

 一方。
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