俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 性別を問わない、長い付き合いである友達のけいちゃん。

 捨てられた子猫のような、見たこともない目をしていた。

 その彼がわたしの胸に顔を埋め、安らかな顔をしているのを見ると――

 良かった、と感じた。なんというか、母性があふれてくると言うのか。

 ちなみに。けいちゃんには「うえはノーブラでTシャツ一枚にして」と注文をつけられ、よって、彼とわたしを隔てるのは頼りない布切れのみ。

 ふーっ、とけいちゃんが大きく息を吐いた。「やべえ……おれ、いま、死んでもいい」

「死んだら困るよ」とわたしはけいちゃんの頭の後ろに触れた。「けいちゃんがいなくなったら、寂しいなんて言葉じゃすまないよ。死にたくなっちゃう」

「おまえでもそういうこと言うんだ」彼は一度顔を離し、顔の右半分をわたしの乳房に押し付ける。「なんかおまえ、……どきどき言ってんな」

 ノーブラで男性に胸に顔をこすりつけられて、平常心など保てるはずがない。

 けれども、わたしは無理に笑みを作ってみた。「今晩だけなら、なにしたって構わないよ」

 するとけいちゃんが顔を起こす。

「おまえ、……おれ以外相手にそういうこと言うなよ」

 彼は、怖いくらいに真剣な目をしていた。

「言わないよ」とわたしは笑った。

「なあ、……触ってもいい?」
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