俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 それをすることで自分の知らなかったなにかと出会えるかもしれない。未知なるなにかとの遭遇。それはどんなかたちであれ、着実に、人間を成長させてくれる。

 育児。仕事。どちらも大変だ。育児は育児でこれ以上ないほどの幸せを与えてくれるプロセスではあるのだが、仕事と違って給与がもらえるわけではないのが辛いところである。一方。

 仕事のほうは仕事のほうで、辛い。毎日育児をすればボディブローのようにじわりじわりと疲労が蓄積するのと同じで、仕事のほうも継続しているとからだに来る。同じ会社のアラフォーの人間は健康診断でなにかしら引っかかるらしい。四十代五十代の管理職でなにかと頑固な人間が多いのは、やはり、家計を支えるというプレッシャーがあるのだろう。なにかを切り捨てなければうえには登れない。

 であるからこそ。

 困ったときはお互いさま。相手の目を見て様子を見て――助け合うことが大事なのだと綾乃は思う。子育てをしてみてそれは実感した。あのとき――丈一郎がアクションを起こしてくれなかったら、いまの自分は、ない。愛花もこの世には存在していない。
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