俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 なんだか綾乃は、自分のからだが愛おしく感じられた。あんなにも丹念に愛撫をされて、自分が愛されていることを自覚しないはずがない。

 自分の生きている意味を、実感する。

 その思いは、行動にして伝えねばと思った。だから綾乃は、先をゆく丈一郎を呼び止めた。「ねえ。今夜、なにが食べたい」

「綾乃が食べたい」

「それは分かってるよ」綾乃は苦笑いを漏らした。「そうじゃなくってね、夜、なんか食べたいもの、ある? なければ、ハンバーグにしちゃうけど」

「お。いいね」丈一郎の表情が明るく変わる。綾乃の目に眩しく映った。「煮込みハンバーグとか作れる?」

「……わたしね、普通の焼きハンバーグが作れないんだよ。生焼けになっちゃうの。だからいつも煮込みハンバーグなの」

 恥ずかしげに俯いて綾乃が言ってみると、「いいねえ」と丈一郎は笑う。

「じゃあ、おれ、つけ合わせの粉ふきいも作るよ。そしたらさあ、レタスのサラダとか食べたくない? トマトとか冷蔵庫にあったっけ?」

 プチトマトのがいいかなあ、とぶつぶつ言って丈一郎は歩き出す。

 ――ああ。
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