俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 すると恵流が、カップに口をつけ、付着した口紅をハンカチでそっと拭いながら、丈一郎のフォローに入る。「まあ、でも、小池くんも、よっぽど嬉しかってんろうな。

 ずぅーっとあんたんこと、好きやってんろ?

 誰もが必ず異性にがっつく二十代の頃に、彼女作らんとずぅっとあんたと友達関係続けて、手ぇ出したいん我慢してむらむらする自分抑えこんで。

 男性がそれを続けるんは、女のあたしらが想像する以上に苦しいことやと思うわ」

 綾乃は、ちょっと目を見開いて、恵琉に訊いてみる。「恵琉って、その、……けいちゃんが、大学一年の頃からわたしを好きだったってことに、気づいてたり、した?」

 恵琉と出会った直後、丈一郎も入れて三人で飲みに行ったことがある。よって、二人は面識がある。

「バレバレやったわいね」綾乃の質問に対し、目尻に皺を寄せて恵琉は笑う。「なんかあんた見る目が違ったもん。

 ……やからあたし。釘刺しといたんよ。

 綾乃を傷つけるようなことがあったら、あたしは絶対に許さん、て」

「恵琉……」綾乃は、目が熱くなる。「わたしの知らないところでそんなこと……」
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