俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
◆2
役所を出ると、強張っていた表情がやっとすこし和らいだ。
はーっ、と一張羅を着た彼女が、胸を押さえ、息を吐く。「なんか、……紙切れ一枚出す程度のことなのに、すっごく、緊張した……」
「そうか?」実は、彼女に同感なのだが、丈一郎は余裕の表情を作ってみる。「おれは、別に、ぜんぜんだったぞ」
「けいちゃんていつもそうだよね……」丈一郎の手を握り返し、彼女は彼を見あげる。「いつも、なんに対しても余裕しゃくしゃくって感じ」
――それは。
おまえの前ではかっこつけたいから、ポーズを構えてるだけだぞ……。
愛おしい彼女に本心を隠し、んなこたねえぞ、と丈一郎は笑ってみる。すると、「本当に、小池綾乃になったんだね、わたし……」感慨深げな彼女の声が彼の耳に届く。
「そうだよ」と言って、歩を止める。「なあ、小池綾乃ちゃん。飯まで時間、あるだろ。なにがしたい?」
「けいちゃんがしたいことでいいよ」
「おまえ今日は、なんの日だと思っている」思ったよりも、怒ったような声が出てしまった。丈一郎は、咳払いをし、「なんでもいいぞ。どこにでも行く。映画。水族館。……ホテル」
はーっ、と一張羅を着た彼女が、胸を押さえ、息を吐く。「なんか、……紙切れ一枚出す程度のことなのに、すっごく、緊張した……」
「そうか?」実は、彼女に同感なのだが、丈一郎は余裕の表情を作ってみる。「おれは、別に、ぜんぜんだったぞ」
「けいちゃんていつもそうだよね……」丈一郎の手を握り返し、彼女は彼を見あげる。「いつも、なんに対しても余裕しゃくしゃくって感じ」
――それは。
おまえの前ではかっこつけたいから、ポーズを構えてるだけだぞ……。
愛おしい彼女に本心を隠し、んなこたねえぞ、と丈一郎は笑ってみる。すると、「本当に、小池綾乃になったんだね、わたし……」感慨深げな彼女の声が彼の耳に届く。
「そうだよ」と言って、歩を止める。「なあ、小池綾乃ちゃん。飯まで時間、あるだろ。なにがしたい?」
「けいちゃんがしたいことでいいよ」
「おまえ今日は、なんの日だと思っている」思ったよりも、怒ったような声が出てしまった。丈一郎は、咳払いをし、「なんでもいいぞ。どこにでも行く。映画。水族館。……ホテル」