俺が好きなのは、お前だ。~男友達の積年の片想い相手はわたしでした~
 自己満足なんかじゃない。真摯な想いで、これからも彼女と向き合っていきたい。

 切なく突きあげる感情に耐え、丈一郎は、バッグから小箱を取り出した。

「綾乃――おれたち。

 今日から、ずっと一緒だ。

 ずっとずっと一緒にいよう。

 どんなことがあっても、二人で乗り越えていこう。

 だから、これからも――

 よろしく、お願いします」

「けいちゃん」彼女が、手の甲を上にし、左手を差し出す。

 その細い指に、真新しい指輪を通す。

 手が、……がたがた震えてしまったが。丈一郎は、笑って誤魔化したりなどしなかった。

 真剣な場面で、笑うのは失礼にあたる。

「幸せになろうね、けいちゃん」見れば、彼女も自分のバッグからお揃いの小箱を取り出していた。

 どうやら、彼女も同じ意図を持って、持ち歩いていたらしい。

 以心伝心、というやつか。

 丈一郎が頬をかくと、その手を、そっと掴まれる。

 彼女の手が、丈一郎がこれから一生身につける指輪を、彼の指に通していく。

 それが終わると、二人は見つめ合い、どちらからともなく、抱きしめ合った。

 幸せすぎる瞬間だった。
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