第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
レオが去ったあとのガーデンは、ふっと静けさを取り戻した。
「ティアナ」
名前を呼ぶ声は、まるで耳元に触れるように柔らかい。
顔を上げれば陽光を受けて輝く金髪と、深いエメラルドの瞳。
整った顔立ちに、自然と視線が吸い寄せられてしまう。
「俺は……君と、もう少し仲良くなりたい」
胸の奥がきゅっと鳴った。
想いは通じ合った――それでも、私はあまりにも経験がなくて、
この先をどう進めればいいのか分からない。
そっと近づいたディランの手が、私の髪に触れる。
驚くほど優しくて、あたたかい。
触れられた場所から、じんわり熱が広がっていく。
「ディラン……」
「キスしてもいいかな」
「……だめです」
落ちた静寂は、ほんの一瞬。
けれど、その短い間に心臓が跳ねるほど音を立てた。
「だめ、か」
責めるでもなく、困ったように笑う。
その表情が優しすぎて、胸が締めつけられる。
「どうしていいかわからないです」
「うん」
「こんなこと……初めてで」
「それは、光栄だな」
「……ディランは余裕ですね」
「んー、まあ。大人だからかな」
「子ども扱いするんですか」
私はもうすぐ18歳だ。
そう言うと、ディランは首を横に振った。
「違うよ」
一歩近づいて、柔らかく笑う。
「特別扱いしてる。
ずっと、ね」
その言葉が胸の奥に落ちて、熱がじわりと広がる。
「だから、ゆっくりでいい。
君が――触れたいと思ってくれるよう、努力するよ」
そう言って、額に軽いキスが落ちた。
羽のように軽いのに、心臓が跳ねるほどの衝撃。
「……これくらいは、いいだろう?」
にやりと笑うその顔が、余裕たっぷりで。
(……なんか、腹立つ)
私は一歩だけ下がって、ディランを睨む。
「……余裕ぶってますけど」
「ん?」
「そんなふうにしてたら、そのうち後悔しますよ」
「へぇ?」
「私だって、その……
いつまでも大人しくしてるとは限りませんから」
一瞬、ディランがきょとんと目を瞬かせ――
次の瞬間、口元がゆっくり吊り上がった。
「それは……怖いな」
「今、笑いましたよね」
「うん。
楽しみになった」
そう言って、今度は私の手を取る。
指先に落ちる、軽い口づけ。
「じゃあ、その時まで。
ちゃんと、待つよ」
(……この人、やっぱりずるい)
胸の奥がじんわり熱くなって、
どうしても、負けた気しかしなかった。
「ティアナ」
名前を呼ぶ声は、まるで耳元に触れるように柔らかい。
顔を上げれば陽光を受けて輝く金髪と、深いエメラルドの瞳。
整った顔立ちに、自然と視線が吸い寄せられてしまう。
「俺は……君と、もう少し仲良くなりたい」
胸の奥がきゅっと鳴った。
想いは通じ合った――それでも、私はあまりにも経験がなくて、
この先をどう進めればいいのか分からない。
そっと近づいたディランの手が、私の髪に触れる。
驚くほど優しくて、あたたかい。
触れられた場所から、じんわり熱が広がっていく。
「ディラン……」
「キスしてもいいかな」
「……だめです」
落ちた静寂は、ほんの一瞬。
けれど、その短い間に心臓が跳ねるほど音を立てた。
「だめ、か」
責めるでもなく、困ったように笑う。
その表情が優しすぎて、胸が締めつけられる。
「どうしていいかわからないです」
「うん」
「こんなこと……初めてで」
「それは、光栄だな」
「……ディランは余裕ですね」
「んー、まあ。大人だからかな」
「子ども扱いするんですか」
私はもうすぐ18歳だ。
そう言うと、ディランは首を横に振った。
「違うよ」
一歩近づいて、柔らかく笑う。
「特別扱いしてる。
ずっと、ね」
その言葉が胸の奥に落ちて、熱がじわりと広がる。
「だから、ゆっくりでいい。
君が――触れたいと思ってくれるよう、努力するよ」
そう言って、額に軽いキスが落ちた。
羽のように軽いのに、心臓が跳ねるほどの衝撃。
「……これくらいは、いいだろう?」
にやりと笑うその顔が、余裕たっぷりで。
(……なんか、腹立つ)
私は一歩だけ下がって、ディランを睨む。
「……余裕ぶってますけど」
「ん?」
「そんなふうにしてたら、そのうち後悔しますよ」
「へぇ?」
「私だって、その……
いつまでも大人しくしてるとは限りませんから」
一瞬、ディランがきょとんと目を瞬かせ――
次の瞬間、口元がゆっくり吊り上がった。
「それは……怖いな」
「今、笑いましたよね」
「うん。
楽しみになった」
そう言って、今度は私の手を取る。
指先に落ちる、軽い口づけ。
「じゃあ、その時まで。
ちゃんと、待つよ」
(……この人、やっぱりずるい)
胸の奥がじんわり熱くなって、
どうしても、負けた気しかしなかった。