第4部 夜明けが世界を染めるころ、悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない
「そして、さらに! こうして、こうだ!」

「うわ! まじかっけーー!」

「セナ副団長の剣、やばかったよな!」

「だよな! あれ、お嬢様がセナ副団長に練習中かけたやつだよな!」

中央では、騎士団員たちがセナがオリバー団長に決めた技を真似して、わいわい盛り上がっている。
剣を振るたびに、木製の床に風が走り、笑い声が弾けた。

「セナ副団長! こんな感じですか!」

「……おまえらな」

呆れたように言いながらも、セナはどこか嬉しそうに近づいていく。
普段は冷静な彼が、少しだけ口元を緩めているのが分かる。

その横で、そっと影が寄り添った。

ディランだ。

彼は騒ぎの中心から少し離れた場所に立ち、私の隣に自然に並ぶ。
肩が触れるか触れないかの距離で、静かに場を眺めていた。

「本当に賑やかだな」

低く落ち着いた声が耳に届く。

「ですね」

返すと、ディランは横目で私を見て、ほんのわずかに微笑んだ。
騎士団の喧騒とは違う、静かであたたかい空気がふたりの間に流れる。
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