追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
 いけない、と私は慌ててその考えを掻き消した。
 田口さんは、入社から半年でほとんどすべてのバックオフィス業務を完璧にこなしているすごい人だ。うっかりだとしても可愛いなんて思ってはいけない気がする。

「確か普通にお菓子でしたよ。個包装の小さいのがふたつ、いや三つだったかなぁ」
「ええと、リボンつきのおしゃれな箱入りではなく?」
「あっは。なんですかそれ」

 声をあげて笑ってから、田口さんは「多分ですけど」と再び口を開く。

「柊木さんにだけ奮発されたんじゃないですか?」
「うーん、そんなことありますかね? 皆にあげたよっておっしゃってたんですが」
「なにが入ってたんです?」
「ええと……あ、写真撮ってました。これですね」

 スマホのフォト欄をスワイプし、田口さんへ該当の写真を見せる。
 個包装のお菓子が三袋、それに箱入りのチョコレート。チョコレートだけ価格帯が違いそうだなとうっすら感じてはいたものの、皆に配ったと言っていたからあまり気に懸けないようにしていた。

「んーと、こっちの三つは一緒ですよ。でも箱入りのは柊木さんにだけかも」
「え……なんでだろ。私だけ別だなんて」
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