追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
昨日、と鸚鵡返ししたきり、回答に迷った私は思うように口を動かせない。
その間、鵜ノ崎さんは私を急かさなかった。下手に急かさないのは、それは私が口を開くまで待ち続けるという意味でもある。
「なにも……できませんでした。なんか、考えごと、ばかりで」
なにか喋らなければと無理に開いた口から零れたのは、相手が望んでいる答えとは懸け離れていそうな、間の抜けた返事のみだ。
落ち着かない私とは裏腹に、鵜ノ崎さんは浮かべた笑みを崩さない。
「俺もなにもできなかった。ずっと柊木のこと、考えてたから」
囁く声が近い。それに、やはり仕事中とは思えないほどに甘い。
二の句が継げなくなる。ここには今、私たちふたりしかいない。恋人係の演技をしたところで、他人の目があるわけでもない。
デートに誘われて以降、鵜ノ崎さんがまるで恋人みたいなことばかり言ったりしたりするのはどうしてなのか、私はいまだに掴みかねている。
いや、あのデートよりも前からだ。同行した出張で、私がホテルで醜態を晒したあの朝から、鵜ノ崎さんは明らかに私に対する態度を変えた。
手が伸びてくる。
長い指がゆっくりと私の指に触れる、その寸前で私は声を張り上げた。
その間、鵜ノ崎さんは私を急かさなかった。下手に急かさないのは、それは私が口を開くまで待ち続けるという意味でもある。
「なにも……できませんでした。なんか、考えごと、ばかりで」
なにか喋らなければと無理に開いた口から零れたのは、相手が望んでいる答えとは懸け離れていそうな、間の抜けた返事のみだ。
落ち着かない私とは裏腹に、鵜ノ崎さんは浮かべた笑みを崩さない。
「俺もなにもできなかった。ずっと柊木のこと、考えてたから」
囁く声が近い。それに、やはり仕事中とは思えないほどに甘い。
二の句が継げなくなる。ここには今、私たちふたりしかいない。恋人係の演技をしたところで、他人の目があるわけでもない。
デートに誘われて以降、鵜ノ崎さんがまるで恋人みたいなことばかり言ったりしたりするのはどうしてなのか、私はいまだに掴みかねている。
いや、あのデートよりも前からだ。同行した出張で、私がホテルで醜態を晒したあの朝から、鵜ノ崎さんは明らかに私に対する態度を変えた。
手が伸びてくる。
長い指がゆっくりと私の指に触れる、その寸前で私は声を張り上げた。