追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
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 起業から七年、破竹の勢いで業績を伸ばしているIT系企業、コードネストコーポレーション。
 規模や業種を問わず多くの企業が導入する業務効率化ツールの開発・販売を手がける、業界で大きく注目を集めている新興企業だ。

 二年半前に転職してきたこの会社で、私は、代表取締役社長である鵜ノ崎さんの秘書を務めている。
 フットワークが軽く、その場その場で予定を変更しがちな彼のスケジュールを管理するのが私の主な仕事だ。その他にも、バックオフィス業務を中心にさまざまな業務の補佐や調整を担っている。

 端的に言って、かなりハードだ。
 でも、私はこれでいい。むしろこれがいい。なんならもっと大変でもいいくらいだ。

 朝一でセールスマネージャーの(たに)(また)さんと客先へ向かう旨、今日はあらかじめ連絡を受けている。
 明日には関西方面への出張が控えている。それには私も同行する予定だ。スケジュールを確認し、往復の新幹線やホテル、訪問先オフィスまでの道順など、最終的な確認を進めておく。

 そうした準備がおおよそ終わった頃、フロアのドアが解錠される音がした。
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