追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています

《2》

 週末、金曜。午後五時四十五分。
 開式の十五分前に受付を済ませ、ふたりでパーティー会場へ進む。会場は駅直結のラグジュアリーホテル内、シャンデリアが輝く大ホールだ。

 場内には、すでに出席者の多くが集まりつつあった。
 ロビーで手渡されたドリンクのグラスを片手に、あちらこちらで談笑している人たちの声が響く。私と鵜ノ崎さんもアルコール以外の飲み物を選び、グラスを手に会場内へ向かう。

「ご列席の皆様方、本日はようこそお越しくださいました。定刻となりましたので、ただいまより……」

 ほどなく司会の女性の華やかな声が会場に響き、人々のさざめきは一旦収まった。
 開式の案内に次ぎ、拍手とともにステージに現れたのは、鵜ノ崎さんのお父様だ。先日会ったときには着流し姿だった彼は今日、品を感じさせるスリーピースのスーツを身にまとっていた。

 顔は変わっているわけがないのに、まるで別人みたいだと感じてしまう。

 式典は滞りなく進んでいく。
 会長、そしてグループ会社の代表者たちの挨拶が済み、祝電の披露などもひと通り終わり、式次第は乾杯の音頭へと続いた。
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