追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に溺愛されています
 結局、今日のためにドレスを新調してもらっている。
 午後には会社を出て、鵜ノ崎さんと一緒に彼の行きつけのブティックへ向かった。

 迷った末、ネイビーのパンツドレスを選んだ。デコルテから袖にかけてのレースとフリル、加えてオーガンジー素材の膨らんだ袖が目を惹く、ドレッシーなパンツドレスだ。背にはレースのリボンがあしらわれていて、可愛らしくも大人っぽい印象を受ける。腰の位置が高く、脚のラインがすっきり綺麗に見える点も気に入って選んだ。
 髪のリボンやイヤリングといったアクセサリーとともに、ガーターストッキング、ハイヒールまで一式で合わせてもらった。

 髪は例によってシニヨンにと考えていたら、スタイリストにたしなめられた。
 その場でアイロンを取り出したスタイリストに髪を巻かれ、サイドに垂らすスタイルにされた上、メイクも直されてしまった。慣れなさもあって妙に落ち着かない。

 鵜ノ崎さんがあらかじめ話を通していたのだろう、お父様がいらっしゃる席だから仕方ない。髪とメイクを直されながら、自分なりにそう折り合いをつけた。

 鵜ノ崎さんはなかなか戻らない。
 ソファから立ち上がり、人がぽつぽつとしかいないロビーをそろりと歩き回る。短い距離とはいえ、動いていたほうが落ち着く気がしたからそうしたのだけれど、その矢先。

 鼻にかかった女性の声が近づいてきて、ぎょっとした。
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