追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に溺愛されています
「ああ~、やっぱり歩加ちゃんだぁ!」
妙に間延びした、式典の場ではふさわしいとは言いがたい、甲高い声。
聞き間違える気はしなかった。古くは十年前、直近では二年半あまり前、一度ならず二度までも私に天真爛漫な悪意を差し向けてきた彼女の――姫田さんの声だ。
「今日はお仕事? わぁ綺麗なドレス! 歩加ちゃん背めっちゃ高いし、すっごい似合ってるね~!」
「……お久しぶりです」
はしゃぐ姫田さんには定型的な挨拶を返し、形だけの会釈をする。
その後、彼女の隣に立つ男性を直視してから、私は気まずく視線を落とした。その男性が誰なのか分かってしまったせいだ。
「久しぶり。柊木……って呼んだほうがいいよな、こんな場所だと」
酒巻先輩だった。
あれから十年、残りの大学生活では徹底的に避け、また避けられてもいた彼は、当時の爽やかそうな外見から十年分の歳月を経て、一般的なサラリーマンよりも攻めた装いをしていた。
ストライプ柄のスーツに濃赤のネクタイ、そして蓄えられた顎の髭が、私の目には少し胡散くさく映る。
妙に間延びした、式典の場ではふさわしいとは言いがたい、甲高い声。
聞き間違える気はしなかった。古くは十年前、直近では二年半あまり前、一度ならず二度までも私に天真爛漫な悪意を差し向けてきた彼女の――姫田さんの声だ。
「今日はお仕事? わぁ綺麗なドレス! 歩加ちゃん背めっちゃ高いし、すっごい似合ってるね~!」
「……お久しぶりです」
はしゃぐ姫田さんには定型的な挨拶を返し、形だけの会釈をする。
その後、彼女の隣に立つ男性を直視してから、私は気まずく視線を落とした。その男性が誰なのか分かってしまったせいだ。
「久しぶり。柊木……って呼んだほうがいいよな、こんな場所だと」
酒巻先輩だった。
あれから十年、残りの大学生活では徹底的に避け、また避けられてもいた彼は、当時の爽やかそうな外見から十年分の歳月を経て、一般的なサラリーマンよりも攻めた装いをしていた。
ストライプ柄のスーツに濃赤のネクタイ、そして蓄えられた顎の髭が、私の目には少し胡散くさく映る。