追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
表情に嫌悪を滲ませないよう、精一杯努める。
答えたくない。どう答えるのがいいのか迷っているのも確かだったけれど、そもそもこの人たちと会話をするだけでも負担がかかる。
黙るしかできない私が生んだ微妙な沈黙が数秒続いた後、姫田さんが酒巻さんになにか耳打ちをした。
なにを切り出されるのか、想像するのも憂鬱だ。早く鵜ノ崎さんに戻ってきてほしいな、と身勝手な期待を抱いてしまう。
「その、学生の頃、ええと……十年くらい前になるよな。あのときはひどいことをして申し訳なかった」
は、と間の抜けた声が零れる。
それを言え、とたった今姫田さんに吹き込まれたのだろうか。酒巻さんは、さも言われるままに言ったと言わんばかりの態度だ。
急な謝罪に鼻白んでしまう。それが表情に出た自覚もあった。
ここでする話ではなさすぎる。しかもそんな形だけの謝罪を受け取りたいとも思えず、私の唇からは、返事ではなく冷めた問いかけが漏れる。
「そういったお話は結構です。ご用件をどうぞ、弊社へのご用ですか?」
鵜ノ崎さんの名前を出したくなくて、弊社、という言葉をわざと使った。
端的に問いかけると、酒巻さんは見るからに怯んで見えた。なんだか十年前の逆みたいだ。
答えたくない。どう答えるのがいいのか迷っているのも確かだったけれど、そもそもこの人たちと会話をするだけでも負担がかかる。
黙るしかできない私が生んだ微妙な沈黙が数秒続いた後、姫田さんが酒巻さんになにか耳打ちをした。
なにを切り出されるのか、想像するのも憂鬱だ。早く鵜ノ崎さんに戻ってきてほしいな、と身勝手な期待を抱いてしまう。
「その、学生の頃、ええと……十年くらい前になるよな。あのときはひどいことをして申し訳なかった」
は、と間の抜けた声が零れる。
それを言え、とたった今姫田さんに吹き込まれたのだろうか。酒巻さんは、さも言われるままに言ったと言わんばかりの態度だ。
急な謝罪に鼻白んでしまう。それが表情に出た自覚もあった。
ここでする話ではなさすぎる。しかもそんな形だけの謝罪を受け取りたいとも思えず、私の唇からは、返事ではなく冷めた問いかけが漏れる。
「そういったお話は結構です。ご用件をどうぞ、弊社へのご用ですか?」
鵜ノ崎さんの名前を出したくなくて、弊社、という言葉をわざと使った。
端的に問いかけると、酒巻さんは見るからに怯んで見えた。なんだか十年前の逆みたいだ。