追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
あはは、と笑った姫田さんの目はまだ直視できない。
この可愛らしい笑顔を武器に、彼女は周りの人間を利用し、味方につけ、自分の気に食わない人間を排除してきた。姫田さんはそういう人だ。
前職に在籍していた頃にも感じた幼稚な面も、いまだに目立つ。
現に、今も大学の先輩たちを『先輩』呼びで通しているらしい。社会に出てもう八年近く経つにもかかわらず、こういう場で立場もわきまえず、平然と。
気が滅入る。滅入ったから前職を辞めた。でも、今は。
今の私は、今の居場所を、やすやすと手放す気にはなれない。
「あいにくですが、今日の出席は業務ではありません。そろそろ失礼しま……」
「ええ~。なんかさすがに冷たくない?」
少し語調を強めて発した言葉は、途中で半端に途絶えた。
遮るような姫田さんの言葉と視線に毒を感じたからだ。
いけない、と今度は私が怯む番だった。
私はいつもこうだ。
まっすぐな悪意は受け流せばいい。複雑に入り組んだ計画的なそれよりも、遥かに避けやすいのだから。
だけれど、私は結局うまくできずに囚われてばかりだ。
特に姫田さんの悪意には、過去に二度も負けているから、余計に萎縮してしまう。
「ていうかいいなぁ、歩加ちゃん。転職して鵜ノ崎先輩と一緒に働いてるんでしょ、今?」
「……え?」
この可愛らしい笑顔を武器に、彼女は周りの人間を利用し、味方につけ、自分の気に食わない人間を排除してきた。姫田さんはそういう人だ。
前職に在籍していた頃にも感じた幼稚な面も、いまだに目立つ。
現に、今も大学の先輩たちを『先輩』呼びで通しているらしい。社会に出てもう八年近く経つにもかかわらず、こういう場で立場もわきまえず、平然と。
気が滅入る。滅入ったから前職を辞めた。でも、今は。
今の私は、今の居場所を、やすやすと手放す気にはなれない。
「あいにくですが、今日の出席は業務ではありません。そろそろ失礼しま……」
「ええ~。なんかさすがに冷たくない?」
少し語調を強めて発した言葉は、途中で半端に途絶えた。
遮るような姫田さんの言葉と視線に毒を感じたからだ。
いけない、と今度は私が怯む番だった。
私はいつもこうだ。
まっすぐな悪意は受け流せばいい。複雑に入り組んだ計画的なそれよりも、遥かに避けやすいのだから。
だけれど、私は結局うまくできずに囚われてばかりだ。
特に姫田さんの悪意には、過去に二度も負けているから、余計に萎縮してしまう。
「ていうかいいなぁ、歩加ちゃん。転職して鵜ノ崎先輩と一緒に働いてるんでしょ、今?」
「……え?」