追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
 妙にしっかりしたお土産だ。
 他の社員も皆、この洒落たリボンつきの小包を受け取ったのだろうか。訝しみつつ、お礼がてら訊き返してみる。

「ありがとうございます。あの、他の皆さんにも同じ物を?」
「……、ああ」

 返事までわずかに間が空きはしたものの、その後は〝なんでそんなことを訊くんだ〟とばかりに話が続く。

「リモート組以外は全員に配ったな。柊木だけタイミングが合わなくて、渡しそびれてたから」
「そうでしたか、失礼しました。ありがたく頂戴します」
「どういたしまして。不在時の対応助かったよ、かなり忙しかったって聞いてた」

 ありがとう、と続けられ、いえ、と慌てて頭を下げる。
 確かに先週、鵜ノ崎さんの不在時は特に忙しかった。顧客からの個別の連絡が立て続けに入り、私もたびたびカスタマーサポートチームの補佐に回った。
 出張の間もオンラインミーティングは毎日あったし、中には私が参加していないミーティングもあって、そのときに誰かがそうした話題にも触れたのかもしれない。

「それでは失礼します。なにかありましたらお声がけください」
「ああ」

 社長室を退室しながら、もらったばかりのお土産の箱をそっと指で撫でる。
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