追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
 触れるだけの口づけだというのに、柊木は見るからに息を乱していた。
 熱っぽい吐息が唇を伝い、くらりとする。都合のいい夢でも見ているみたいだ。

「柊木は自分がしたいようにしてればいい」
「あ……」
「追う暇もないくらい、俺が追いかけ尽くす。柊木はただ、柊木を追ってる俺を見てればいいだけだ」

 唇がほとんど触れ合ったまま囁く。
 まともな呼吸ができていない。だが、それは柊木も同じだ。

「柊木の話になると冷静でいられなくなるんだ。みっともないことも多分する、笑いたければ笑ってくれていい」

 言うだけ言って、返事を待たずにまた口を塞いだ。
 反論されそうな気がしてしまうのは、俺が、自分に自信がないからなのかもしれない。

「ん、……ふ、」

 しがみついてくる柊木の声は甘い。
 この子が自力で立っていられなくなるまでキスを続けたくなる。いつまで経っても飽きない唇のやわらかさに、骨の髄までやられてしまっている。
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