追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
『あの、歩加。ごめんね、お母さんそんなつもりじゃなくて』
「……私もごめん。ずっと我慢してたこと、全部言っちゃった」
『歩加……』
ごめんね、ともう一度母の小さな声が聞こえてきて、居た堪れなくなる。
私が母を虐めている気分になる。
『お米はちゃんと送るから。また電話するわね、じゃあね』
傷ついたような声が聞こえた後、少しの沈黙を経てから通話は切れた。
擦り傷をガリガリ擦られているみたいな痛い罪悪感が、じっとりと身に迫ってくる。通話終了のボタンをタップして、私はぼんやりとスマホをテーブルへ置いた。
どう答えるのが良かったんだろう。今さら考えてしまう。
母に悪気はない。早々に用件を切り出してきたのも、〝お父さんの付き合い〟という言葉を使ったのも、悪気があるからではない。分かっている。だからこそ嫌になる。
気が滅入る。ぼうっと座っているしかできないままで十分ほど無為に過ごした頃、再びスマホが着信音を響かせ始めた。
今度は、姉からの電話だった。
実家の家族たちはメッセージをあまり使わない。なにかあれば電話をかけたがる。私がまだ高校生の頃に結婚して婿を取った姉も、例外ではなかった。
「……私もごめん。ずっと我慢してたこと、全部言っちゃった」
『歩加……』
ごめんね、ともう一度母の小さな声が聞こえてきて、居た堪れなくなる。
私が母を虐めている気分になる。
『お米はちゃんと送るから。また電話するわね、じゃあね』
傷ついたような声が聞こえた後、少しの沈黙を経てから通話は切れた。
擦り傷をガリガリ擦られているみたいな痛い罪悪感が、じっとりと身に迫ってくる。通話終了のボタンをタップして、私はぼんやりとスマホをテーブルへ置いた。
どう答えるのが良かったんだろう。今さら考えてしまう。
母に悪気はない。早々に用件を切り出してきたのも、〝お父さんの付き合い〟という言葉を使ったのも、悪気があるからではない。分かっている。だからこそ嫌になる。
気が滅入る。ぼうっと座っているしかできないままで十分ほど無為に過ごした頃、再びスマホが着信音を響かせ始めた。
今度は、姉からの電話だった。
実家の家族たちはメッセージをあまり使わない。なにかあれば電話をかけたがる。私がまだ高校生の頃に結婚して婿を取った姉も、例外ではなかった。