追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
 む、と口を尖らせながらも、姉に打ち明けたことで、鵜ノ崎さんとの関係を少し客観的に捉えられた気がしなくもない。
 そう思ったら苦々しい溜息が零れた。

「はぁ。早く私も追えたらいいなって思うよ、そしたらきっと向こうも安心だろうし」
『ええ~。安心させたいとかもう全然好きじゃん、追いたいんじゃん』
「まあ……うん。本人には伝えられないだけなんだよ、それも完全に私個人の問題であって」
『想像以上に難儀な恋すぎてお姉ちゃんびっくりだよぉ』

 さんざん笑っていたわりに、姉の声は唐突に深刻そうになる。

『まぁあんたも好きなんだったら、言えないにしてもいい感じに追わせたまま待ってもらえるように……なんちゅうかこう……良さげな方法をこう……そうだ!』

 ろくろでも回していそうな神妙な声の後、閃いたとばかり、電話越しの声が急に弾む。

『ご飯とかご馳走したげたら!?』
「なにその提案、急じゃない? 真面目に考えてくれてる?」
『考えてるよ! おばあちゃん仕込みの得意料理があるじゃんか、歩加にはさぁ!』

 姉は名案とばかりに切り出してくる。
< 158 / 254 >

この作品をシェア

pagetop