追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています
 学生時代の私を覚えていないことを差し引いても、女性に恋愛相談を持ちかけている時点で、すでに鵜ノ崎さんらしくないとも思う。
 恋は人を盲目にする。意外ではあるけれど、その例に漏れず、鵜ノ崎さんも盲目になっているのかもしれない。

 これまでの秘書たちにも同じ相談をしてきたのかな、とときおり思う。
 過去には女性の秘書もいたと聞く。軽率に恋愛相談なんてしていたら、それこそ勘違いしてしまう人もいたのでは……もっとも、私は絶対にしないけれど。

 自席に着きながら、溜息が零れそうになった。

 恋愛相談。私も、あの当時の事情を、いつかは笑って誰かに打ち明けられたらいい。そういう気持ちは確かにある。
 卑屈でもなんでもなくただの笑い話にできたなら、そのときこそ私は、追う恋からもあのトラウマからも解放される気がする。

 その相手が鵜ノ崎さんだったらいいな、と思う日も増えた。
 この二年半で、私たちの間にはそのくらい揺るぎない信頼が育っている。

 そう思っていた。
 少なくとも、私は。
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