追う恋はもうしたくない恋愛弱者の私、釣り合うはずのない敏腕ハイスペ社長に追われています

《2》

 翌日、夜。

「珍しいな。こんなになるまで飲むなんて」
「うう……ぐうう」
「別に断っても良かったんだぞ」

 呆れの滲む声が、すぐ隣から聞こえてくる。
 私はといえば頷き返すこともできない。頭を動かすと、途端に気持ち悪さが増すからだ。

 今日の出張は、新規の社外パートナーとの業務提携契約と顔合わせが主な目的だった。
 午前中のうち、相手企業の本社がある関西方面まで新幹線で移動。午後から相手側の上役たちと顔を合わせ、夜にはもてなしの席を設けていただき、そして今に至る。

 相手企業の社長は女性で、酒豪だった上に話が上手で、ついお酒が進んでしまった。
 まだ大丈夫だと思い込んで飲み続けたのは私で、つまりこれは完全に私のミスだ。

「すみません、飲み合わせでしくじりました……うう回る……」
「吐きそう?」
「吐かないです……絶対吐かないぃい」

 よろよろと歩く私の隣で、鵜ノ崎さんは親身に腕を支えてくれている。会場だった料亭を後にしてから、もうずっとこのざまだ。

「前の仕事でこういうときってどうしてたんだ? 心配すぎるんだが」
「いえ前職ではこう、なんといいますか、こういった重要な接待などへの同席は任されておりませんでしたといいますかその」
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